地元・古賀市の歴史や文化を伝えてくれる創作劇が魅力の市民劇団DAICOON(ダイコーン)。
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今年のオリジナルミュージカル「悠久の風~私たちの場所~」のポスターをいただきました!私の事務所に掲示しています。9月28日(日)午前11時と午後3時の2回公演。古賀市中央公民館(リーパスプラザ)で。皆さん、ぜひともご鑑賞ください!
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なお、私は昨年の同劇団の作品で、瓦版屋さんとして特別出演させていただきました。現場では青少年健全育成の取り組みに心から共感しました。
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この時の様子は2013年10月17日付ブログ などで報告しています。これらもご参照いただけると幸いです。
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カジノを含む統合リゾート(IR:Integrated Resort)が注目を集めています。
私は毎日新聞記者だった2010年に担当していた大阪府の橋下徹知事(当時)がIRを「アジアの都市間競争を勝つための起爆剤」と位置づけたことを受け、その意義等を取材・記事化した経験から、強い関心を持ってきました。当時、シンガポールに新たなIRがオープンしたばかりで、国会の超党派議連も設立。こうした経緯を踏まえ、現在、政府が「成長戦略」と位置付けて導入を進める前のめりな動きがあります。
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田辺が取材した記事=毎日新聞2010年7月8日付夕刊1面・社会面
果たして、日本にカジノは必要なのか。IRはこの国の「成長」に資するのか。冷静に議論し、結論を出す必要があります。
20日、地方自治体が取り組む国際化を支援するため、地方自治体が共同して設立した「自治体国際化協会」(CLAIR:Council of Local Authorities for International Relations、本部・東京)のシンガポール事務所を訪問しました。90年に設立され、ASEAN10か国とインドを所管。日本の自治体等からは福岡県を含め18人が派遣され、活動しています。
この日は足達雅英所長(総務省派遣)や岩井昌也次長(福岡県派遣)らから、同国のIR導入の背景と現状などについて聞き取りました。
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IRとは、カジノ施設を中心にホテル、レストラン、ショッピングセンター、MICE施設(※)、そのほか娯楽施設などの観光に寄与すると認められる施設が一体となっている複合施設の総称です。その特徴として、カジノの占有面積が施設全体のわずかな割合であること、カジノの収益が施設全体の半分以上であること、そして公的財源を必要としない(民間投資による)観光振興策であることが挙げられます。
※MICE…Meeting(会議・研修・セミナー)、Insentive tour(報奨・招待旅行)、Convention(大会・学会・国際会議)、Exhivition(展示会)の総称。頭文字をとったもの。
カジノ市場が世界で成長する中、シンガポールでは2010年、ゲンティングループが運営する「リゾート・ワールド・セントーサ」とラスベガスサンズ社が運営する「マリーナ・ベイ・サンズ」が相次いでオープン。世界の注目を集めています。
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同国はもともと資源が限られ、観光が成長戦略の柱に据えられてきました。カジノについては犯罪の温床、依存症対策、青少年教育に与える影響などが懸念されることから、導入に向けては「社会合意の形成」を重視。2003年以降、国民の理解を得るための「対話」を行い、カジノ運営業者にもヒアリングを繰り返し、取り組みを進めてきたといいます。
05年4月に閣議決定された「カジノを含む統合リゾート開発を推進する計画」では、①世界に通用する滞在型リゾート施設②アジアの観光客をひきつける観光地③単なるカジノだけでない複合観光施設――を柱とし、「異なるコンセプトで、異なった客層を集める」ために2つの大きなIRを形成する方針が決まりました。
家族・レジャー客を狙った「リゾート・ワールド・セントーサ」と、ビジネス・コンベンション客を集めたい「マリーナ・ベイ・サンズ」。セントーサは売上が2010年の12億6300万ドルから2013年は31億4000万ドルに、サンズは同じく20億1900万ドルから29億4000万ドルに伸びています。
そして、同国への来訪者数は両施設開業前の2009年の968万人から2013年は1560万人に急増。観光収入も126億シンガポールドルから235億シンガポールドルと約2倍になっています。明らかにIRが観光振興に寄与しているといえます。
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さらにMICEの現状を見ると、シンガポールは国際会議の件数が2010年から急上昇し、11年以降は米国を上回って世界一となっています。2013年は994件に上っています。なお、同年の日本は、シンガポール、米国、韓国に次いで第4位となっています。
IR導入の経済効果は①建設需要創出②新規雇用創出③インバウンド④MICE振興に大別され、開業時点でのセントーサの雇用者数は1万1000人、サンズも9000人に上っています。そして、これだけの大規模な施設の運営は、カジノという特殊な収益源がなければ成立しません。
シンガポール政府はカジノ管理法(Casino Control Act)を成立させ、ライセンスを限定(30年の期限と10年間は新たなライセンスは付与しない独占権)。内務省の下に創設されたカジノ規制庁(Casino Regulatory Authority)が、免許に関する許可や規則制定などを担っています。また、カジノ調査部(Casino Investigation Unit)が調査・監督、違法行為を摘発します。
懸念されるギャンブル依存症の対策としては、国民に対してはカジノ入場税(100シンガポールドル/日または2000シンガポールドル/年)を課しています。このほかにも▽排除プログラム(Exclusion Program)▽特定地域外でのメディア広報・プロモーション行為の禁止▽入場年齢制限(21歳以下の賭博防止)▽施設内でのATM設置禁止▽ギャンブル依存症国民協議会の設置――を定めました。
中でも注目したのは、排除プログラムです。病的賭博に悩む、もしくはリスクを負いたくない人がカジノへの自らの入場を禁ずる「自己排除」や、家族が配偶者や子どもらの入場を禁ずる「家族排除」、さらに自己破産者や生活保護受給者、家賃滞納者などに対して行政が入場を禁じる「第三者排除」の仕組みを整えています。いずれも受理件数は伸びていました。
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自治体国際化協会シンガポール事務所の入口で
CLAIRでの調査を踏まえ、21日、シンガポールの2つのIRを視察しました。
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リゾート・ワールド・セントーサでは、岡澤隆史・ディレクター(日本セールス&マーケティング)から概要を教えていただいた上で、施設内を見せていただきました。敷地面積は東京ドームの約10倍。海洋水族館や東南アジア初のユニバーサルスタジオ、約7000人が収容可能なボールルームのあるコンベンションセンター、個性的なホテルなどが集約された大型リゾート施設です。
特に驚いたのが、海洋水族館内にあるホテルの部屋。客室の窓がそのまま水槽に面しており、海洋生物の観察ができる仕組みになっていました。こうした発想と実践は稀有です。
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前述したように、IRはカジノに収益を依存しています。セントーサにもカジノはあり、延べ床面積約1万5000平方メートルに2160台のゲームがあります。全体の利益の約7割がカジノといい、わずかな面積で極めて大きな収益を生んでいることが分かります。
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一般客のカジノの入口
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世界各国からのVIP用のカジノの入口
カジノ内部の撮影は禁じられています。旅行者は入口のゲートでパスポートを提示し、チェックを受けて中に入ることができます。カジノ内部は多様な客層でした。ターゲットとする「第1市場」は、マレーシア、インドネシア、タイ、香港、中国の一部。さらに、韓国・済州島には4倍の面積を誇るIRが建設される予定といいます。
そして、もうひとつのIRが、マリーナ・ベイ・サンズ。
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都市中心部に位置し、高密度・商業的な空間。ターゲットはビジネス・コンベンション客。そのため、MICE施設の面積が広大で、面積12万平方メートル、展示ブースは20、250会議室をようし、4万5000人が収容できるといいます。
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とにかく、その規模の大きさに圧倒されました。このビジネスの拠点となったサンズの敷地にも、カジノがあります。施設全体の面積の1割以下である延べ床面積1万5000平方メートル。地上4階、地下1階のスペースに約2500台のゲームがそろいます。ポイントは、外部から目立たない入口。
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高級ブランドのショッピングが楽しめる店々の中に入口があります。最初は私も気づきませんでした。中に入ると、セントーサ同様、多様な客でにぎわっていました。
これらの調査を踏まえたうえで、IRを導入するならば、まずは「日本型のIR」がどうあるべきか、同じ商圏で戦っていく上での差別化はどう図っていくのかを考えなければなりません。単にシンガポールの模倣に終わるなら、導入の必要性はないと思います。そして、現場で見ることができたカジノに興じる方々の表情、働いている人々の表情から得た実感をこの問題を考える「根っこ」にしたいと思っています。こうした検討の中で、ギャンブル依存症対策、青少年から隔絶する仕組みなどの具体的なあり方も考えることになります。
IRの可能性の大きさと、これを支えるカジノ本質。今回の視察は私の今後の活動に重要な示唆を与えてくれました。
がんばろう日本
ささえよう東日本
伝えよう古賀の心