2022年度(令和4年度)当初予算が成立しました。私から市議会に提案していたもので、24日の定例会最終本会議で他の全ての議案と共に可決していただきました。議員の皆さんに感謝を申し上げます。
私の1期目の任期は12月22日に満了するため、今期最後の当初予算となります。市長就任後の3年余り、公約に掲げた産業力の強化、チルドレンファースト、健康・安心、市民生活を支える基盤の整備を軸にまちづくりを推進し、長年の懸案を解決に導くことも強く意識してきました。これらの取り組みの進捗も踏まえ、さらに前に進めるべく、予算を編成しました。
当初予算はまちづくり全体に関わります。子ども子育て支援のさらなる充実、中心市街地であるJR古賀駅周辺の活性化、JR千鳥駅東口のロータリー整備や西鉄宮地岳線跡地の開発、社会の価値観の変容を捉えた薬王寺温泉オフィス「快生館」の強化、企業誘致の推進、ゼロカーボンシティ宣言の具現化、農業振興、高齢者や障がい者の皆さんの福祉向上、人権・平和行政など挙げればきりがありません。ぜひ施政方針をご一読ください。また、予算の見える化の一環で作成している概要資料もご参照ください。
施政方針はこちら。
予算の概要資料はこちら。
なお、将来を見据え、どういった理念でまちづくりを進めていくのか。とても大切なことなので、施政方針の冒頭(1と2)を以下に再掲します。
1.はじめに
私たち先行世代は、私たちが享受している現在の社会よりもよき社会を、より豊かな社会を、子どもたちや孫たち、さらにはその先の世代につないでいく責任がある。
私がいつも大切にしている考えです。長期的視点を持って、次の世代、未来の世代のために、何を為すべきか。現在の私たちの選択が、未来の世代を犠牲とすることがないよう、賢明さとは何か、追い求めたい。この国が少子化と超高齢化による人口減少社会に突入しているからこそ、この世界が環境破壊による気候変動に代表されるように人類の活動が地球を危機に追い込んでいる「人新世」と呼ばれる時代だからこそ、そして新型コロナウイルス感染症によるパンデミックという未曽有の事態に直面しているからこそ、この原点に立ち返りたいと思います。
『グッド・アンセスター わたしたちは「よき祖先」になれるか』。イギリスの文化思想家、ローマン・クルツナリック氏がパンデミック直前に著した書物の邦訳版が、昨年9月に出版されました。「私たちは未来を植民地化してきたのだ」。序盤に出てくるこの言葉にハッとさせられます。「まだ生まれていない明日の世代が、この植民地主義者による彼らの未来の略奪に対して何もなす術がないのは、悲劇としか言いようがない」。
クルツナリック氏は、短期主義的になってしまう人間の本質を突いたうえで、長期思考による具体的な行動を促します。人類の歴史を紐解くと、長期思考に基づく様々なプロジェクトを見出すことができます。例えば、スペイン・バルセロナにあり、福岡県出身の外尾悦郎氏が主任彫刻家を務めるガウディのサグラダ・ファミリア教会は、1882年に着工し、144年後の2026年に完成する予定です。スコットランドのアーティスト、ケイティ・パターソン氏が手掛ける「未来図書館」には、2014年から100年間、毎年、著名な作家の書いた新作が未読のまま預けられ、これらの書籍は、ノルウェー・オスロ郊外に特別に植えられた1000本の木から作られた紙に印刷され、2114年に出版されます。自分自身が生きている間に結果は見えない。けれども、「個人の人生を超えた時間軸」で捉え、動く。それはなぜなのか。社会の持続可能性を高めていくため、私たちがどのような思考を持つべきか、学ばされます。また、クルツナリック氏は「目先の政治的利益や決定を優先し、将来世代よりも現在世代を優遇するような偏り」を「現在主義政治」として課題を分析し、新たな民主主義のあり方も提起しています。謙虚に受け止め、思考しなければならないと痛感しました。
未来への責任を果たすためには、時代の要請を捉え、社会全体がこれを意識しなければなりません。そのうえで「私たち」の具体的な行動が問われています。「グッド・アンセスター、よき祖先になるためには、『どうやって<私>が変化をもたらすか』ではなく『どうやって<私たち>が変化をもたらすか』が重要な問題となる」。その「私たち」に最も近い地方自治体には、これまでよりも一層重い責務が課せられていると、私は理解しています。
2.クロスオーバーによる「共創」
近年、時代の変化がとても速くなっています。そのうえ、この2年余りの新型コロナウイルス感染症との対峙はその流れを加速させています。この状況を的確に捉えなければ、直近の私たちの生活の向上はもとより、次世代に責任ある形でこのまちを未来につないでいくことはできません。
古賀市は時代の変化に即応し、まちづくりを進めています。キーワードはクロスオーバーです。市内外の多様な人材が出会い、交流すること、共に歩むことで、それぞれの経験に基づく感性や知見、技術などが交差し、「掛け算」が起き、新たな価値が創出される。「共創」が、私たちの地域社会の未来を拓いていく。今、そのための「場づくり」が求められていると考えており、まちづくりの様々な場面でこれを強く意識し、取り組んでいきます。
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ロシアによるウクライナ侵略を受け、政治家個人として抗議声明を公表していましたが、本日、古賀市長としてロシアのプーチン大統領に抗議文を送付しました。日本語と英語で作成しました。以下、ご報告します。
抗議文
ロシア連邦 大統領
ウラジーミル ウラジーミロヴィチ プーチン 閣下
ロシアがウクライナを侵略し、核兵器の使用も示唆するといった一連の行為は、断じて容認できるものではありません。平和首長会議及び日本非核宣言自治体協議会に加盟する古賀市の代表として、強い憤りを表明します。
戦争は最大の人権侵害です。軍事侵攻で、子どもたちをはじめ多くの人々の命が奪われています。さらに、核兵器の使用を示唆することは、国際社会に対する重大な挑戦であり、戦争被爆国の自治体として、市民生活の平和と安全を守る立場から看過することはできません。
古賀市は非核・恒久平和都市を宣言し、不戦を誓い、市民の皆さま、全世界の皆さまと共に、核兵器の廃絶と恒久平和実現に向けた取り組みを続けています。国際法と国連憲章に明らかに違反する今回の軍事侵攻と核兵器による威嚇に断固として抗議するとともに、一刻も早く、ウクライナへの攻撃を停止し、撤退すること、平和的解決をめざすことを強く要請します。
2022年3月23日
日本国 福岡県 古賀市長
田辺 一城
Protest Statement
President of the Russian Federation
H.E. Mr. Vladimir Vladimirovich PUTIN
The series of actions by Russia's invasion of Ukraine and suggesting the use of nuclear weapons is absolutely unacceptable. As a representative of Koga City, which is a member of the Mayors for Peace and the Nuclear Free Local Authorities Council of Japan, I express my strong resentment.
War is the greatest violation of human rights. The military invasion has claimed the lives of many people, including children. Moreover, suggesting the use of nuclear weapons is a serious challenge to the international community and cannot be overlooked as a City council of a war-affected country from the standpoint of protecting the peace and security of civilian life.
Koga city has declared itself to be a non-nuclear and permanent city of peace.Vowed not to fight, and is committed to abolish nuclear weapons and realize permanent peace together with citizens and people all over the world. We firmly protest the invasion and the threat of nuclear weapons that clearly violate international law and the Charter of the United Nations and urge Russia to stop and withdraw from the attack on Ukraine as soon as possible and aim for a peaceful solution.
23 March 2022
Kazuki Tanabe
Mayor of Koga City, Fukuoka Prefecture, Japan
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福岡県議会の初当選同期、仁戸田元氣副議長の就任祝賀会へ。私たち県民目線の現場主義を貫き、政策に精通、幅広く信頼される温和な人柄で頑張ってくれています。おめでとうございます!
2011年の統一地方選で共に県議会へ。私は当時30歳、仁戸田副議長は31歳。県民の皆さんの暮らしを向上させる政策の実現、国の政局洞察などで切磋琢磨をしてきました。仁戸田副議長の挨拶にもありましたが、政治は様々な考えの調和をどのように図っていくか。地方自治は二元代表制のもと、どのように福祉向上を実現していくか。
14日の祝賀会には、私も大変お世話になってきた自民党県議団相談役の藏内勇夫・九州の自立を考える会会長(日本獣医師会会長)や原口剣生・自民党県連会長、吉村敏男・立憲民主党顧問、県議会の主要4会派の松本國寛・自民党県議団会長、岩元一儀・民主県政県議団会長、井上忠敏・緑友会会長、森下博司・公明党団長、そして服部誠太郎知事をはじめ県幹部の方々など多くの皆さんが参加。二元代表制が確立、深化している福岡県議会だからこそ、そして仁戸田副議長の人柄あってこそです。
祝賀会に参加し、私も福岡県議会から政治活動をスタートできて本当によかったとあらためて実感しました。仁戸田副議長の手腕に期待し、これからも地方からこの国を前に進めていく決意を新たにしました。