平成31年度(2019年度)の当初予算案などの重要議案をご審議いただく古賀市議会定例会が28日開会し、市長として初めて施政方針演説を行いました。
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以下、施政方針演説の全文を掲載します。長文になりますが、まちづくりの理念、平成31年度に具体的にどのような政策・施策を展開していくのか、詳しく説明をしていますので、お時間許すときにご一読いただけると幸いです。
なお、今回新たに打ち出した「持続可能な都市に向けた経営方針」の概念図と平成31年度当初予算案の概要について、「予算の見える化」をめざす市政初の試みとして資料をわかりやすく作成し、古賀市HPでデータを公開していますので、こちらもあわせてご参照ください。(こちら)
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1.はじめに
昨年も国内では多くの災害が発生しました。歴史的な豪雨災害となった7月の西日本豪雨をはじめ、9月には台風21号や北海道地震が発生し、多くの尊い人命が失われました。お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表し、被災された全ての皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。私も被災地支援ボランティアに参加してまいりましたが、近年頻発する大規模災害の恐ろしさを肌で感じるとともに、災害時における地域防災の重要性を改めて強く認識いたしました。一方で、スポーツをはじめ、明るい話題も数多くありました。平昌オリンピック・パラリンピックやサッカーワールドカップロシア大会などにおける日本選手の活躍に多くの勇気と感動をもらうとともに、スポーツによる人種や民族、ことばの垣根をこえた交流のすばらしさを実感しました。
古賀市においては、3月に高田土地区画整理事業が完了し、美郷地区が誕生しました。また、同月、玄望園において土地区画整理事業の起工式が執りおこなわれ、有効な土地利用の推進に向けた明るい話題となりました。6月にはその玄望園で福岡県総合防災訓練を実施したことで、関係機関の技能向上と市民の防災意識の喚起につながりました。この訓練で得た知識と技術を、今後の防災体制強化に生かしてまいります。さらに、11月には古賀市と福津市が東京オリンピックに向けたルーマニア柔道代表チームの事前キャンプ地に決定しました。これを来年開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けた市民のスポーツへの意識の高まりや、選手と子どもたちの交流などによる多文化共生の推進へとつなげていきたいと考えております。福祉分野においては、地域包括ケアシステムの構築を進めるための地域福祉計画や子どもの貧困対策及び自殺対策計画の策定が大詰めを迎えています。誰もが住みやすいまちづくりの推進のため、これらの取組をしっかりと前へ進めてまいります。
古賀市の総人口は継続して微増傾向にあり、昨年11月末には過去最高を更新し、本年1月末で5万9182人となりました。
私が市長に就任して2カ月が経ちました。本年も「第4次古賀市総合振興計画」の基本目標達成に向けて着実に取り組みます。さらに、未来に向けて持続可能な古賀市を実現していくことを念頭に、「産業力」「子ども」「健康・安心」の大きく3つの観点から、私たちの暮らしを取り巻く様々な課題を解決するため、個々の政策の実効性を高めるとともに、政策が相互に作用し合い、相乗効果で好循環をもたらすことを強く意識しながら取り組んでまいります。こうして、経済活動や定住促進を生み出す基盤づくり、誰もが生きやすい地域共生社会の構築を進め、持続可能な都市の実現につなげてまいりたいと考えております。
さて、提案させていただく平成31年度予算は、私が市長として取り組む初めての当初予算となります。先の平成30年古賀市議会第4回定例会におきまして、私は議員の皆さま、市民の皆さま、そして市職員に対し、所信表明を行い、今後4年間の市政運営への決意を申し上げました。
その所信表明の中から、まずは平成31年度に実施をめざしてまいります政策・施策について、私が選挙公約として掲げた政策の実現を意識し、先ほどお示しした「産業力」「子ども」「健康・安心」の大きく3つの観点からご説明させていただきます。
1点目は、農・商・工の魅力を高める産業力の強化についてです。
古賀市の交通結節点としての地の利を活かし、適正な土地利用を推進するため「古賀市都市計画マスタープラン」の改訂完了をめざします。併せて、有効な土地利用による中心市街地の活性化を図るため、JR古賀駅周辺整備について特色ある駅周辺の姿を可及的速やかにイメージ化できるよう取り組んでまいります。また、玄望園を筆頭にトップセールスによる企業誘致を推進することで、それに伴う雇用の拡大を図ります。今在家地区や新原高木地区についても、土地利用転換に向け、積極的に取り組んでまいります。
さらに、中小企業や小規模事業者の販路拡大を支援するとともに、にぎわいの創出に向けた新規創業者の支援を積極的に行います。
農業分野においても、都市近郊の強みを生かすことを念頭に、効率化と生産性向上を図るための基盤整備に継続して取り組むとともに、新規就農支援や国内外に向けた販路拡大支援を行います。
併せて、観光拠点機能と産業力強化機能を兼ね備えた「道の駅」の整備について、現在策定中の基本計画や市民の皆さまのご意見等も踏まえつつ、引き続き検討を進めてまいります。
これらの取組を推進することで古賀市の農業・商業・工業の力をさらに引き出していきたいと考えております。
2点目は、子どもたちの育ちと学びを支える「チルドレン・ファースト」です。
古賀市ではこれまでも、待機児童ゼロの取組や「教育立市こが」の推進により子育て・学習環境の向上に努めてまいりました。
これからも、子どもたちが大人になっても住み続けたい古賀市をめざし、安心して産み育てられる環境を整備します。幼児教育・保育無償化への対応を適切に行うことで子育て世帯の負担軽減を図るとともに、保育園・幼稚園等と連携し保育士確保などに取り組むことにより、保育定員・病児保育の増設ニーズにしっかりと応えてまいります。さらに、古賀市子育て世代包括支援センターを開設し、妊娠期から出産、乳幼児期までの切れ目のない支援をワンストップで行ってまいります。
学びと育ちをきめ細かく支えるため、全ての小中学校における原則35人以下学級や多様な人的配置を継続します。また、小中学校の全ての普通教室及び一部の特別教室において空調を整備します。
コミュニティとの連携も重要です。地域の皆さまのお力をいただきながら、地域で子どもたちを育む通学合宿、寺子屋活動等を支援することで、子どもたちの「生きる力」を伸ばす取組を後押しします。併せて、放課後子供教室と学童保育との連携推進や、児童館活動等の充実により、子どもたちの行き場所・居場所づくりを行います。
すべての子どもが夢と希望を持って生きていけるよう、「貧困の連鎖」を断ち切るための子どもの貧困対策を推進します。策定中の「古賀市子どもの未来応援プラン」に、国に先行して市独自の指標を盛り込み、取り組みます。
3点目は、誰もが健康で安心して暮らしていける地域社会の実現です。
あらゆる立場の人が「QOL(Quality Of Life:生活の質)」を向上できる古賀市の実現をめざし、医療・介護・障がい者福祉の充実を図ってまいります。
医療・健康づくり分野においては、地域における主体的な取組であるヘルスステーションへの支援や、「歩く王決定戦」などの知見を活用し、健康経営の支援を継続するとともに、特定健診やがん検診の受診促進に向けた取組を行います。また、認知症高齢者グループホームの開設支援や、障がい者福祉の推進に向けた生活状況等調査を実施します。
さらに、公共交通における市民ニーズに対応するため、古賀市公共施設等連絡バスの拡充を行うとともに、地域公共交通網形成計画を策定し、市民の生活利便性の確保と持続可能な公共交通体系の確立をめざしてまいります。
地域防災・減災体制の強化も推進します。地域防災の要である消防団の将来にわたって持続可能なあり方を検討するとともに、機能向上のための備品配備等を継続して行います。また、自主防災組織の運営を引き続き支援するとともに、災害時に高齢者や障がい者などの避難行動要支援者の安否確認及び避難支援を可能にするため、必要な環境整備を行ってまいります。併せて、地域防災計画の見直しや防災訓練における学校や地域との連携強化にも取り組んでまいります。さらに、災害対策におけるドローンの活用や、IT環境の整備についても検討を進めてまいります。
循環型社会の形成をめざし、ごみ減量、廃棄物のリサイクルを推進します。汚泥再生処理センターの整備に向けた基本計画を策定するとともに、3Rのさらなる推進を図るため、剪定枝リサイクル等の取組拡大や、食品ロス削減などの意識啓発を行ってまいります。
スポーツと文化を振興することで、これからのまちづくりにつなげていきます。先ほども述べましたように、東京オリンピックに向けたルーマニア柔道代表チームの支援を継続してまいります。また、本年開催されるラグビーワールドカップにおいては、日本代表チームの中心として活躍が期待される古賀市出身の福岡堅樹選手を応援するとともに、試合会場でもある福岡都市圏の一員として広域的な連携による地域振興を図ってまいります。さらに、古賀ゴルフ・クラブで開催される日本オープンゴルフ選手権において、地域と連携した取組を支援します。文化においては歴史遺産の次世代への継承のため、国史跡船原古墳出土品の調査や分析、デジタル化などを進めてまいります。こうした取組については、国際交流や多文化共生の推進にもつなげていきたいと考えています。
最後に、人権を重んじ、平和を希求する取組です。
市民が共に生き、共に支えあう「いのち輝くまちづくり」をめざし、7月の「同和問題を考える市民のつどい」及び12月の「いのち輝くまち☆こが」を継続して開催することで、あらゆる差別の解消に向けた取組を推進するとともに、世界の恒久平和をめざし、原爆パネル展示や広報等による啓発の取組を進めてまいります。
これらを中心として、3年目を迎える「第4次古賀市総合振興計画後期基本計画」における7つの基本目標の達成に向けた取組を「オール古賀」で進めていくため、政策づくりや予算編成過程に市民が関わることのできる仕組みや、子どもたちの意見を聴き次世代の感性を市政につなげる方法を検討することで、対話と交流のまちづくりを進めてまいります。また、持続可能な地域社会の構築をめざすため、「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」を念頭においたまちづくりも併せて推進していきたいと考えております。
以上のことを踏まえ、平成31年度の施政方針を策定いたしました。
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施政方針は、さらに具体的な政策・施策に続きます。以降は、古賀市HPのこちらをご参照ください。
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2020年の東京オリンピック・パラリンピックで、福岡県古賀市と福津市がルーマニアのホストタウンに登録されました!国際交流と多文化共生をまちづくりの重要な取り組みのひとつに位置付けている古賀市にとってうれしい知らせです。
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ホストタウンとは、2020年の東京大会を契機として、日本の地方自治体と参加国・地域が人的、経済的、文化的な相互交流を図り、大会後の交流も見据えた取り組みを推進することで、地域活性化につなげていくもの。
昨年11月、ルーマニアの柔道選手団の事前キャンプ受け入れで既に基本合意書に調印し、古賀市内の小中学校でも交流が始まっています。また、古賀市内のイベントでもルーマニアのブースを設置し、ルーマニア料理なども紹介して機運を高めてきました。今回のホストタウン登録で、相手国との交流事業に国の特別交付税措置などの支援が行われることになり、今後、相互交流の動きに弾みがつくことになります。
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